私たちは、病気やけがをしたときに、自ら選んだ医療機関(病院や診療所)を受診することができます。そして、その費用の多くは医療保険によってカバーされています。 こうした制度は、世界的に見ても非常に珍しいものです。
たとえばアメリカでは、全国民を対象とする公的な医療保険制度が存在しません。ドイツでは似た仕組みがありますが、一部の国民は対象外です。 一方、日本では全国民が何らかの医療保険に加入することが法律で義務付けられており、病気やけがの際には医療費の補助や給付を受けられる仕組みが整備されています。
この「国民皆保険」は、1961年に確立され、すでに半世紀以上にわたり運用されてきました。 この制度を今後も持続・発展させていくためには、医療費の適正な利用と、保険料の公平な負担が必要です。 制度を支えるのは、加入者一人ひとりの理解と協力です。
日本の医療保険制度の基盤を築いた「健康保険法」は、国民皆保険が実現する約40年前の1922年にすでに制定されていました。 この法律は、ドイツの疾病保険制度を参考にしつつ、「健康」という言葉を冠した点が特徴で、制定当初から国民の健康を守ることが明確に掲げられていました。 この制度の運営主体として設けられたのが、「健康保険組合(健保)」です。
現在、全国には約1,400の健康保険組合があり、厚生労働大臣の認可を得て設立されています。 健康保険法は、健康保険組合だけでなく「協会けんぽ(全国健康保険協会)」にも適用されており、国民健康保険や共済組合などとあわせて、日本の医療保険制度を構成しています。 なかでも、国民の過半数が加入しているのは、健康保険法の適用を受ける健保または協会けんぽです。 健康保険組合の運営は、事業主の代表と被保険者(従業員)の代表が同数で構成される理事や議員によって行われます。理事会や組合会を通じて、法律に基づき自主的・民主的に運営される仕組みが整えられています。